家探しを始めると、都心部あたりでは必ずと言っていいほど一度はお目にかかる旗竿地の土地。
この旗竿地は不動産業界では敷地延長、もしくは短縮して敷延(しきえん)とも呼ばれる土地の事で、文字通り旗型の形状をした土地のことを指しておる。
前面道路の間口に接する部分は狭く、住宅が建築される奥の敷地までは通路(竿にあたる部分)となっており、自分がイメージしておる戸建住宅のイメージとはかけ離れていると感じられた経験をお持ちの方も多いじゃろう。
しかし、この旗竿地物件の数は年々増加の一途を辿り、しかも販売もそこそこ好調に販売が続いておる。
旗竿地.comでは、この何とも違和感を感じる旗竿地の特性や、旗竿地物件の利点や欠点、購入前に必ず確認しておくべきポイントについて専門的に解説を加えておる。
旗竿地の土地を始めて目にした方は、この形状に驚かれる方も多いじゃろう。
近年では旗竿地物件が実際に多く販売されるようになっておるが、昔はこのような形状の土地はほとんど目にする機会がなかったものじゃ。
一戸建ての土地といえば1区画60坪〜100坪程度の家が多く、ほとんどの家には庭があり駐車場がある。
しかし、現在では旗竿地だけじゃなく30坪以下の土地や10坪超の狭小地に工夫をこらして建築される狭小住宅の売れ行きも好調じゃ。
これは日本の経済市場の長引く不況が要因となっておるのかもしれんが、ひとつの時代の流れとして捉えても良いじゃろう。
旗竿地の土地は一般的な四角い整形地の土地と比較すると多くのデメリットが存在する。
旗竿地のデメリットをざっとあげるとこのような欠点が挙げられる。
【旗竿地のデメリット】
・陽当り・通風が取りにくい
・玄関位置が固定されるなど間取りの自由が乏しい
・となりの家の真横もしくはリビング前を通過するためプライバシー問題がある
・道路から奥まった位置に家があるため防犯上不安が残る
・2台駐車場の場合は縦列駐車となるため車の出し入れが面倒
・通路部分が細い場合、重機が入りにくく建築費がかさむ
・建蔽率が高いエリアでは圧迫感が強い
・容積率いっぱいの延べ床面積がとれないケースも多い
・広い庭を確保できない
・敷地境界部分の塀など協定書が必要になるケースが多い
ざっと挙げただけでもこれだけのデメリットが挙げられる以上、やはり旗竿地物件は欠点が多く存在する物件である点を把握…⇒続きを見る
旗竿地の土地を検討する場合は、土地の形状からデメリットばかりが目に付くかもしれん。
しかし、旗竿地は何よりも価格的なメリットが大きい点を見逃すことはできないのぉ。
安かろう悪かろうではさすがに困ったものじゃが、土地は建物と異なり大きな普遍要素を占めておる点を覚えておく必要がある。
不動産の価値を示す指標は様々な指標があるが、ここからは旗竿地(敷地延長物件)の利点について確認していくとしよう。
旗竿地の最大の利点はやはり、一般的な正方形や長方形のような整形地とは異り、その価格の安さが挙げられるのは間違いないじゃろう。
土地の価格が安いということは、単純にその土地の資産価値が低いという事を意味しておる。
家探しを始めたばかりの方であれば、予算と希望条件を伝えると、旗竿地は狭小地物件を幾つか勧められた経験があるじゃろう。
これは、家探しを始めたばかりの頃は、地域の相場と自分がイメージしている夢のマイホーム物件とのイメージが若干乖離している点が主な原因じゃ。
家探しでは、建物部分にイメージが膨らみがちじゃが、実際は土地の価格が物件価格に大きく影響を及ぼしておる。
良い立地で四角い土地に庭付きの駐車場を兼ね備えた三角屋根の家。
特に都心部ではこのような物件を手にするには予算を数千万円上げないと難しいケースが大半じゃ。
予算を重視するのであれば、やはり旗竿地のような資産価値の低い物件を検討せざる終えなくなるという訳じゃな。
一応誤解がないように解説を加えておくが、旗竿地物件は価格が安いといってもこれは、そのエリア内の地域の相場に対しての話しである。
当たり前の事じゃが、人気の高いエリアであれば旗竿地のような敷地延長物件でも土地価格は高額になるのぉ。
やや人気の低いエリアだが間口も広く理想的な四角い土地に庭付きの一戸建ての物件価格が4000万円。
人気エリア内だが旗竿地で陽当りも乏しく庭もないような一戸建ての物件価格が5000万円。
このように、旗竿地は地域の相場に対して価格が安いという点だけは事前に把握しておくべきじゃ。
旗竿地であろうと、土地の坪単価そのものが高いエリアでは土地の価格…⇒続きを見る
旗竿地物件の最大の魅力は価格の安さにあることはここまで解説してきた通りじゃ。
予算内で希望するエリアに住居を構えるのであれば、やはりどこかで妥協点を見つける必要が出て来る。
今現在、既に物件探しを開始しており旗竿地のような敷地延長物件も検討し始めている方は、この旗竿地を検討し始めた原因について一度自分の胸に問いかけてみると良いじゃろう。
これは最終的に物件を決める判断は、個々の優先順位によって決定する事で後々、後悔の少ない、もしくは自分で決めたと納得できる物件購入に繋がる為じゃ。
旗竿地を購入した方々が、最終的に旗竿地物件を決めた最大の理由が何であるかご存じじゃろうか?
この答えは、最大の利点である「価格が安い」という価格的なメリットではなく、立地や環境、治安などの「付加価値」が最大の理由となっておる。
そして、旗竿地の最大のメリットもまた、希望する立地にある物件を手の届く価格帯で購入できる可能性を広げてくれるという点にあると考えることもできるのじゃ。
東京都杉並区にある松庵という小さな地域を例にあげてみるとしよう。
この地域は古くから地主が大きな区画で土地を保有しており、大手企業や金融機関の社宅や寮も多い。
学校は松庵小学校、近くには中高一貫教育ではなく、高校3年の共学制という一般的な体制で東大合格者を次々と送り出している絶大な人気を誇る東京都立西高校がある。
このエリアの地域内にある社宅に居住中の方々の大半は、西高への進学も含めてこの近隣エリア限定で物件を探すケースが多くなっておる。
しかし、さすがに人気エリアという事もあり土地相場は高く中々手の届く物件が出てこないという特徴がある。
松庵地域の土地物件が出て来る場合は1区画の大きな土地が売却や相続などで市場に出て来るためじゃ。
そこで、不動産業者が一括で土地を買い取り、この大きな土地を旗竿地2、整形地2の4分割の土地などに分筆し購入希望者に手の届く価格帯で物件の販売をかけていく手法がとられるケースが多い。
大きな土地1区画では販売が難しい物件であっても、このように土地を整形地と旗竿地に分筆することで購入できる対象者が圧倒的に増加する事になる。
そのため購入者側だけではなく物件を販売する不動産業者側にとっても土地の分割販売は大きなメリットがあるという訳じゃな。
尚、実際に販売にかけられた物件は価格設定の安価な旗竿地から売れていくようなケースもあるのじゃよ。
上記の図で言えば、手前(下)が道路の間口であるため、土地を縦に4分割する方法も検討できなくもない。
しかしその場合は、それぞれの区画の間口はとても狭くなり奥に細長い、まさしく「ウナギの寝床」と呼ばれる土地形状になってしまう。
こうなると、土地に建築する建物も細長くなり設計の自由も減り、どの家も似たような家になってしまう可能性が高いのぉ。
しかし、A・B区画を手前、C・D区画を敷地延長とすることで全区画の建物の設計にも自由が生まれてくる。
旗竿地の土地にはこのような建物の設計に関する利点…⇒続きを見る
旗竿地の新築物件の販売図面を見ると、ほぼ100%と言えるほど通路部分に駐車場を設置している販売図面となっておる。
また、敷地延長の通路部分が長い土地の場合は、この通路部分に車を2台駐車できるケースもある。
旗竿地物件は確かにデメリットも多くあるが、前項でも解説した通り、価格が安価に抑えることができる分、地域的な利点を得られやすいという最大の利点がある。
その為、旗竿地のプラスとなる部分を見い出しながら、少しずつ工夫をこらして自分好みの物件に作り上げていく意識が求められるようになってくる。
デメリットとも思える通路部分に駐車場を構えるケースは典型的なひとつの工夫と言えるじゃろう。
旗竿地の通路部分は駐車場の他にも、通路に沿った花壇などのガーデニングや入り口部分の門柱など外構に関わる工夫をこらしている家が多く見られるのをご存じじゃろうか?
十分な庭とは言えないまでも、通路に敷石をおいたり通路の両脇に花壇を設置しガーデニングを楽しむことも可能じゃ。
日曜大工が好きなDIY派の方であれば、有利とは言えない敷地を上手に活用しながら、通路部分の演出 …⇒続きを見る